「で!どうするの!!!
もちろん住むよね!!?」
夜風千陽がいなくなった途端に瑞希が聞いて来た。
「えっ!やだよ!
断るよ!」
「は?なんで!?
こんなチャンス滅多にないよ!」
まるでおかしなものを見るような目で私を見てくる瑞希…。
「チャンスって何のチャンスよ。
男の人と同居とか嫌だし…
第一、こんな豪邸…落ち着かない!
私が超が付くほどの貧乏人って知ってるでしょ??
無理!瑞希がなんと言おうが絶対無理…」
「…!!!
信じらんない!
こんな豪邸に…しかも学園王子とルームシェアできるチャンス!
自ら放棄するなんて…!!!
本気で言ってる…?
王子は同じ美形でもお父さんと違うよ?
男嫌いを治すいい機会だと思うけどなー。」
瑞希は、私の言うことが納得いかないようだった。
瑞希には申し訳ないけど…。
男嫌いを特に治したいと思ったこともないし…。
豪邸に住みたいって思った事も、
学園王子に憧れを抱いたことも私にはない。
「ごめんね…。
だからもう少しだけでいいから瑞希のお家にお邪魔させてね?」
「うー…。
それはもちろんいいけど…。
私は考え直して欲しいなー。」
ブツブツ小言を言う納得いかない瑞希。
「待たせてごめんね!」
夜風千陽が戻って来た。
「あっ!いえ…!」
またロボット化する私達。
家が広すぎなのはもちろんだけど…、
どうやら、私達が緊張してるのは…
この男…夜風千陽のせいなことに今更ながら気づいた。
夜風千陽がもつ独特の、人を飲み込むような、見た目の柔らかい物腰とは反して彼からは威圧的な…王様のようなオーラが出ているんだ。
「さっきいい忘れていたんだけど…
ここのマンションはうちの母が経営してるマンションでね、マンションの中には美容院やジムといったメンテナンス系の施設や、カラオケやダーツとかのアミューズメント施設…いろいろあるんだけど、使い放題だから、利用する時は声をかけてくれたらいい。
お友達さんも月野さんと一緒なら、利用できるから、2人で楽しむといいよ?」
そう言って、ニコリと夜風千陽は微笑んだ。
瑞希はその笑顔にうっとりし…
耳まで赤くしていた。
「その話なのですが…」
瑞希は、私のその言葉にハッ!と我に返り、睨みつけてくるが…
残念ながら、小動物のような瑞希の睨みなんて、可愛いだけでちっとも怖くない。
私は瑞希を無視し、話を続けた。
「私には勿体無すぎると言いますか…
やっぱり断らして頂こうと思うんです…。」
なんでかわからないが、夜風千陽の目を見て話すと異様なまでの緊張感を感じた。
「そっか…。
それはすごく残念だな…。
さっきの電話は、ルームメイトの女性の子からの連絡だったんだけど…。
君の話をしたら、ととても喜んでいてね…。
会いたいから、急いで帰るって言ってたんだけど…。
残念だなー。
きっと帰ってきた彼女は酷く落胆するだろうな。」
そう言う、夜風千陽は酷く残念そうに言った。
え?
なんか私、悪者みたいなんですけど。
