「フフッ。
そんなに緊張しなくて大丈夫だよ?」
夜風 千陽はクスクスと笑いながら、私達の前の大理石でできているような、石でできたテーブルに暖かいコーヒーを出してくれた。
今、私達は夜風 千陽に案内され、リビングなのであろう部屋にある、黒の高級そうな牛革のL字ソファーに腰掛けていた。
このリビングであろう部屋は、どこかのパーティ会場ですか?と聞きたくなる程の大きさ。
横目で瑞希を見ると、
学園王子を目の前に…さっきまで頼りになっていたのは幻だったかのように、今は借りてきた猫状態で硬直していた。
固まる私達に、夜風千陽が言葉を続けた。
「月野さんだっけ?
その制服‥‥僕と同じ学校の生徒さんだったんだね?
この家はどう?
気に入ったかな?
僕は君を歓迎するよ。
まさか、ルームメイトの募集をかけて同じ学校の後輩が来てくれるなんて思いもしなかったけどね。」
私を見つめ夜風千陽は言った。
1つの疑問が沸く…
あたしまだ自己紹介してないよね?
名前も、年齢も言ってないはずなんだけど…。
それに、この人の目…
なんか怖い…
「あの…私名乗りましたっけ?」
メールで名前を瑞希が言っていたのは知っている。
でも年齢は高校生と言う事しか瑞希は言ってなかったはず…
ここには私だけじゃなく瑞希もいる。
なんでわかったの??
「あぁ。月野さんはバイト帰りそのまま来るってお友達さんから聞いてたから。
制服着てるし君が月野さんかな?と思ったんだけど違った?
あと後輩は、リボンの色でだよ。
僕ら三年は緑で、君達2年は赤。
新入生の一年生は青だからね。」
「なるほど…!
変な質問をしてすみません…。
あと、ルームシェアのお話なのですが…。」
涼しげな顔で夜風千陽は答えた…。
彼の言ってることは普通だ。
それなりの洞察力があれば分かること…。
だけど、何かが引っかかる…。
ここには住みたくない。
住んだらいけない気がする…。
同居人は女と思っていたのが男だったってのも断る理由の一つだけど…
この夜風千陽って男…。
なんか普通じゃない気がする…。
「申し訳ないんですが、なかったことにしてもらっていいですか?」
