RMV~ルームメイトはヴァンパイア



朝から、憂鬱な私に反して何がそんなに嬉しいのか、テンション高くご機嫌の瑞希…。


今は瑞希宅で朝食中。



「ルームシェア募集でここら辺で見つけたから、今日、千愛のバイト終わりに見てくるねー!」


「あら!今はそんなのがあるの?
他人とルームシェアなんて…。
なんだかとってもドキドキするわね」


ニコニコのママさん


「見ず知らずの他人とルームシェアするのか?
そんなの大丈夫なのか?
パパは少し怖い気がするよ。」


ナイスパパさん!
もっと言って!


「ですよ…」


ですよねって同調しようとしたら瑞希が割って入る。



「パパが頭固すぎるんだよ!
今は皆けっこうしてることなんだよ?

しかも女の人だけだし、大丈夫だよ。

ねっ!千愛?」


そう言う、瑞希はまるで自分が今日からルームシェアをするかのようなくらいの張り切りようだ。



「なんで、ねーちゃんがそんなにノリノリな訳?
ルームシェアすんのは千愛さんだろ?
俺もおとんと同じだわ…。
怪しいとおもう。
他人とルームシェアするくらいなら、ここにいればいいじゃん!」



瑞希の家族は、
天然でいつもニコニコしているママと
ママの性格を受け継いだちょっとユルイ感じの瑞希。

そしてそのママと瑞希に反して、しっかりしたどちらかというと真面目なパパさんと弟の一希くん。


天然×真面目のなんともバランスのとれた家族だ。



「パパも一希も頭カチコチね。
そんなだとモテないぞ?
大丈夫よ!もし変な人ならここに戻ってきたらいいだけなんだから。
千愛ちゃん、パパたちのことは気にせず楽しんで来てらっしゃい。」



瑞希だ…。


瑞希も将来…絶対ママさんみたいなお母さんになる…。


「あっ。はい。
楽しめるかどうかは分からないですけど、見学していろいろ話し聞いてきます。」


「もうっ!千愛ちゃんったら!
花の女子高生なんだから、いろんなこともっと楽しまなくっちゃ!」


そう言って、ママさんは腰に手をおいて…プンプン!みたいなポーズをとる。



「ほんとだよ!
千愛はお父さんのこととかで、いろいろ背負いすぎだよ。
なんか人生に疲れたおばさんみたいな顔してるときあるし…!
お父さんがいないってことは、とんでもない被害やトラブルはないってことだよ?

もっと今を楽しもうよ!」



確かに…!

全てを失った事に落胆していたが、父がそばにいないということは、私の邪魔すぎる重荷がなくなったという事で…。



瑞希の一言で


私は自由になったんだ…!!!


その事実に今更ながら気付かされた。




「ほんとだね!
ダメ親父がいない方がよっぽど楽だってこと今気づいたわ!」



「でしょ!?
青春しよーよ!!!」


「青春!!青春!!」



ノリノリの瑞希とママさんに反して、冷静なパパさんと一希君。



瑞希家の朝食は賑やかで、笑顔が絶えなくて、会話が途切れることがない。



気づいたら、遅刻ギリギリの時間で…
私達は慌てて学校に向かった。