私はその彼を恋愛として好きなわけじゃなかったけど、もしかして友達になれるかもしれないって思ってた。

 だけどそれからは彼の姿を見る度にその言葉と中学生の時のある一人の男子生徒と姿が重なったこともあってどんどん避けるようになった。

 相原君も優しいから私にこうして話しかけたり一緒に帰ってくれてるんじゃないか。

 そう思っていると相原君は目を丸くした後にブンブンと首を横に振って「全然嫌じゃないから! っていうか嫌なら誘ったりしないから!」と大きな声で返してくれた。

 声の大きさにちょっと驚いてる私をそのままに相原君は学生服のズボンのポケットに手を入れる。

 どうしたんだろうと思っていると相原君はポケットからスマホをとり出し、ずいっと私に近づけて笑った。

「よかったら連絡先を交換しない? そしたら俺達、ただのクラスメイトから一歩前進だろ!」

「相原君……」

 何でだろう?

 相原君は男の子なのに。

 もしかしたらからかわれているだけかもしれないのに。

 見上げてくれる笑顔が眩しくて、真っ直ぐで。

 私は相原君のキラキラした笑顔に誘われるように小さく頷き、「メールアドレスなら」と連絡先の交換に応じてしまったのだった。