C組は一年生の人だけど他の人に負けないくらい速く、三番目で先輩へとバトンがわたされる。
先輩はバトンを受けとると一気に加速して二番目を走っている生徒に迫った。
「先輩すごいね! さすが陸上部って感じ」
応援の合間にはずむような声で感心する香奈恵ちゃんに私は頷く。
「C組の三年生は二人とも陸上部で短距離専門なんだって」
「すごいね」
「あっ、そろそろ第三走者にバトンがまわるみたい。――リーダー次頑張ってくださーい!」
元気いっぱいな香奈恵ちゃんの応援を隣で聞きながらじっとバトンが移動する時を見守る。
第三走者へは二番目で走っていた組とほぼ同じタイミングでバトンがわたった。
バトンパスが上手くいって二位へと順位を上げた先輩。
少しの間二位のままを保っていた先輩は後半にかけてのびていく。
「ファイトー!」
「先輩いけー!」
一位の人の後ろにどんどん迫る先輩にみんなの応援にも熱がはいってますます賑やかになる。
アンカーがいるほうへと顔を動かすとそこにはもう二人がレーン側に立っていて、見ている側なのに私は自分の心臓が緊張でドキドキするのを感じた。
どっちが先にスタートできるんだろう?相原君か野中君か。
先輩、最後まで頑張って下さい!
胸の中でそう思いながら私は握る両手に力をこめる。
一位か、二位か。先輩達はバトンパスへの姿勢に入る。
先にバトンを受けとったのは――。

