「三崎やったな!」

 先輩達の様子を気にしながら手袋を外しているとウイッグとワンピースを片手に持った相原君がブーツを履いたまま近づいてくる。

「俺達が一番だ」

「うん……、夢みたい」

 相原君とゴール前の組の様子を交互に見て、「一位になれたんだよね」と心の中で呟く。

 できるだけ上の順位をとれたないいなって思ってたけど、運動が苦手な私が一位をとれるなんて……。

「……ありがとう。一位になったのは相原君のおかげだから」

「いいや、俺だけなら多分なれなかった。三崎と俺でとれた一位なんだから自信持ってテントに戻ろう!」

「あっ……」

 相原君はくしゃりと笑って空いていた左手で私の右手をつかむ。

 そしてそのまま他の四組がゴールして集まっている場所へと歩いていく。

 相原君の手はやっぱり私より大きくて。抱き上げられていた時はあっという間だったけど落ちそうになることもなくて。

 前を真っ直ぐ見て歩く相原君が頼もしいと思った。