グッと息をのんだように表情を引き締めた様子の相原君が一枚を指でつまんで一口でパクリと食べた――そのすぐ後に盛大に咳き込んで用意されていたペットボトルの水をあおった。
「大丈夫……?」
「……っ、ああ。けどこれ本当に辛……っ。向こうの先輩達は激甘みたいだしどっちもキツいな」
眉をしかめて相原君が横を見る。
先にきていた組も苦戦中のようで皿にのったパンケーキにはたっぷりのシロップとチョコレートソースがかかっているみたい。
まだ半分くらい残っていて、手にしたフォークがふらふらとさ迷ってる。
二枚目をつまんだ相原君を見て私も慌てて一枚のポテチをつまむ。
全体的に赤くて袋のイメージと変わらずに辛そうだけど食べなくちゃ。
一枚のポテチをつまんで口に運ぶ。
噛んで飲み込むと口の中に辛さと熱さが広がって思わず眉が寄ってしまった。
だけど思ったよりは大丈夫そうで続けてもう一枚つまむ。
「平気なのか……?」
「辛いけど食べられそう」
先生からペットボトルに入った水をもらって一口飲んだ私は三枚目もつまんで口に運ぶ。
障害物はもう一つあるから頑張って早く食べなくちゃ。
黙々と紙皿にのったポテチを食べ進める私を机を挟んで見ていた相原君はポカンとした様子で見ていたけれど、残り二枚になったところで「ははっ」と笑った。
「三崎ってすごいな!」
「えっ?」
「今回三崎とペアで本当によかった」
相原君はそう言って残りの二枚を一気に口に入れ、グイッとペットボトルの水をもう一度あおった。
空になった紙皿を見た先生が「合格です」と言ったのを合図に私と相原君はまた走り出す。
走ってすぐに先に第三の障害にきていた先輩の組が私達を追い抜いて、少し遅れて最後の障害の場所にたどり着いた。

