私の手を引いているのに相原君のスピードはとても速くて、私は足をもつれさせながら何とかついていく。
第一の障害のところへは二番目について、手を離して地面に置かれている封筒をそれぞれ拾う。
封を破いて取り出した中の紙を見て私は頭が白くなりかけた。
何回か見直しても書かれている文字が変わるはずもなくて、困った私は相原君を見て大声をあげそうになった。
第一の障害は選んだ紙に書かれている服装に着替えること。
私の指定は猫耳カチューシャに猫の尻尾がついたスカート、おまけに両手に猫の手を模した手袋。
言うなら猫娘で指定の物を持つだけでも恥ずかしい。
つけなければいけないものを手にしたまま見た相原君の様子にポカンとしてしまう。
相原君は指定ジャージの上を脱いでTシャツの上からワンピースを着て、頭には茶色の長いウイッグをかぶる。
ジャージのズボンの裾を膝くらいまでまくり、スニーカーを脱ぐとショートブーツをはいた。
見た目はどこかのお嬢様みたいで、一瞬シンとなったまわりが爆発したように盛り上がる。
「おーっと! C組の相原君はなんと女装! 去年の人形(ドール)に続いて今度はお嬢様だー!」
実況係のアナウンスにギャラリーは大盛り上がり。
どこからか「似合い過ぎー!」と聞こえた声に「嬉しくねーよ!」と返した相原君が顔を赤くしながら私のそばに小走りできた。
「着替え終わった?」
「あっ、ごめんね、これなんだけど……」
私がおろおろと手に持った猫娘変装一式を見せると相原君がカッと目を見開いて私の手元をジッと見る。

