「ついに俺達の番だな」
「うん……」
二列目の組が終わっていよいよ三番を引いた私達の順番が回ってきた。
心臓がドクンドクンと激しく鳴りだして息が苦しいくらいに緊張する。
先に走った三年生と一年生ペアの二組はそれぞれ二位と三位。
私の目標は真ん中を三位をとれたらいいなと思っていたけれど相原君によって目標が上げられる。
「一位目指して頑張ろうな!」
キラキラと光って見える笑顔に明るい声で私を見ながら言う彼に私は「うん」と返せない。
どうしようと悩む暇もなく相原君に片手を引っ張られてつられるように一緒に立ち上がる。
何も言えない私に笑顔を崩さない相原君は何を思っているんだろう?
もやもやと考えながらスタートラインに立つ私。
三列目がスタートするというアナウンスがされて、「位置について」と佐藤先生の声が響く。
「よーい……」と先生が言葉を切るとスタートの時の指定とされた握られた手に力を感じてすぐ隣の相原君を見た。
じっと前を見る相原君がこっちを見ることのないまま唇を動かしていく。
「――三崎に一位をあげたい。だからついて来てほしいんだ」
「え――」
聞き返す間もなく鳴り響いたピストルの音。
その瞬間、相原君は勢いよく走り出した。

