……相原君と職員室を出て生徒玄関で「また明日」って別れるはずだったのに。

 私は今相原君と帰り道を歩いている。

 隣をにこにこ笑顔で歩く相原君をちらちら見下ろしながら歩く速さをあげたい気持ちをおさえる。

 男の子と帰るなんて小学校以来で緊張するし、相原君が話しかけてくれても上手く返せない。

 私が言葉に詰まっても相原君は笑みを消さず、話を繋いでくれるものだからなおさら申し訳なくなってしまう。

 相原君は私なんかと一緒に帰っていてもいいの?

 相原君は友達といるところをよく見るしその中に帰宅部の人もいるはず。

 それに、見上げるくらいの身長差がある女子と歩いて嫌じゃないのかな……。

 小、中学生の時から男子と同じかそれ以上の身長の私。

 小学生の時は他の女子と同じか低いくらいの男子もいたし私も今ほど背は高くなかったからそれほど気にならなかったけど、中学生から高校生にかけてぐんぐん背が伸びる男子の中で彼らと変わらないほど身長が伸びた私は浮いていると思う。

 中にはモデルみたいでカッコいいと言ってくれる人もいるけれど、そう言われる度に本当の私と違うことに胸が重苦しくて。

 私と同じか低い身長の男子が、女子や他の男子にからかわれて嫌そうな顔をしているのを見る度に悲しくなる。

 昔のことを思い出して泣きそうになるのをぐっと我慢すると急に左腕をつかまれて後ろに引っ張られた。

 私の近くにいたのは相原君しかいないと思って名前を言えば相原君は悲しそうな顔をしていた。

 眉を寄せて口をきゅっと結ぶ表情に昔を思い出していた私もつられてもっと悲しくなりそう。

「三崎は俺と帰るの嫌だった?」

「え……っ」