「まあ、あえて言うなら色んなことをしてみることかな。この種目はリレーほどじゃないけど他の種目より高めの得点がもらえる。最下位よりは上を目指すくらいの気持ちでいたらいいよ」

「……分かりました。ありがとうございます」

 後ろから見ていて落ちこんでいるように見える彼に、また私達と向かい合うように顔を戻した先輩は困ったように笑った後、ニッと強気そうなものに表情を変えた。

 そして前の席の方で視線を動かして一番窓際で止める。

 そこには相原君が座っていて「先輩?」と声が聞こえた。

「今年はこの競技に相原が出る。他のみんなもそれぞれほぼ希望通りの種目に出られるから総合優勝の可能性は十分だ。――みんなでとりに行くぞ!」

 「おー!」とたくさんの声が重なって教室に響く。

 学年が違う人と一緒に力を合わせる行事は少ないからいつも新鮮さを感じて胸がむずむずする。

 たくさんの人といるのは緊張するけれど、何かを目指してみんなが一緒に力を合わせるのを見ていると自分もなんとか頑張らないとって思うから。

 少しでも自分も力になれたら嬉しい。

 リーダーである先輩に肩を叩かれて痛そうな声を出しながらも楽しそうな様子の相原君を見ながらそう思った。