相原君は今日も笑顔で


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 六時間目に縦割り式でAからEに分かれた組ごとの話し合いがあった。

 各学年それぞれの種目に誰が出るのかを聞いたりするのが中心で、リレーを含めて同じ種目に出る人達で練習する時間を作ろうとリーダーになった三年生が黒板を背にして言う。

 みんながいつにしようかと話し始めると教室の前方の席に座っていた男子生徒がゆっくりと手を上げる。

「どうした? 何かあった?」

「あの、僕が出る種目はどんな練習をすればいいですか?」

 先輩はうーんと考えるような様子で声を出すと困ったように笑う。

「この種目は毎年内容が多かれ少なかれ変わるんだ。オレが一年で出た時はパン食いに飴玉探し、かき氷の早食いに最後はぐるぐるバット十回。終わった後はしばらく動けなかったな……」

 顔を窓の方に動かして遠い目をする先輩の横顔に質問をした人は「そんなにキツいなんて……」と震えた声で呟く。

 「マジ?」、「うわぁ……」などと言う人達の中、無言で顔色が悪く見える人が何人もいて、きっとその人達は同じ年に同じ種目に出たか見ていた三年生なんだと思う。

 ……どうしよう。

 早食いとか大食いだったら私には難しい。ぐるぐるバットも回った後に走るなんて難しい。

 去年の障害物と借り物の方がまだ楽に思えてくる。

 だけど借り物の内容が変わった物が多くて細かい指定もあった。

 校長先生と手を繋いでスキップしながらゴールという内容に同じクラスの男子があたり、校長先生を素早く見つけて決められた位置に戻ったけれど彼はスキップが苦手だった。

 そのため借り物のところまではトップだったのに一気に最下位になってしまって。

 みんなが笑いながら揉みくちゃにしてその生徒を励ましていたのは今でも記憶に残ってる。