他の生徒の流れと一緒に靴を上履きに変えて歩いて階段を上る。

 体育祭の出場競技決めは早くて明日か明後日かとまた沈みそうな気持ちになりながら教室について中に入った。

「葵ちゃんおはよう!」

「おはよう香奈恵ちゃん」

 先に教室にいた香奈恵ちゃんが中に入った私に気づいて近づいてくる。

 ニコニコと笑っているけれどいつもの香奈恵ちゃんの表情と違うような気がして、心配になった私は香奈恵ちゃんに「ちょっとごめんね」と声をかけて香奈恵ちゃんのおでこに右の手のひらをあてた。

 熱があるのかと思ったけれど大丈夫みたいでよかった。

 香奈恵ちゃんは私の突然の行動に瞬きを繰り返して見上げてくる。

「葵ちゃん?」

「――あっ、ごめんね……! 何か香奈恵ちゃんの様子がいつもと違うような気がして……」

 翼のことがあるからか私は知っている人の怪我や病気が気になってしまう。

 たとえ軽い風邪でも後で重くなったら辛いから様子が違うと気になってしまうんだ。

 去年から今までおさえていたけどやってしまった。

 私は急いで手を離して頭を下げる。

 いきなり触られて嫌な気持ちにさせたかもしれない……!