相原君は袋を抱えるように持って笑顔で近づいてきて、広人さんに似た人は後を追うようについて来た。
「三崎もここで買い物?」
「あ、ううん。私じゃなくて香奈恵ちゃんが……」
「坂本が? これから行くの?」
香奈恵ちゃんを見て相原君が首を傾げるともう一人の人も香奈恵ちゃんを見て「ああ」と声をあげた。
「一年の時に階段で会った人だよね?」
香奈恵ちゃんに近づいて目もとをやわらげる彼に「うっ、うんっ」と返す香奈恵ちゃん。
男の子は「やっぱりそうだ」と笑みを浮かべた。どうやら彼が野中君みたい。
「印象的だったから覚えてるよ。あの時は怪我がなくてよかった」
「うんっ。あの時は本当にありがとう……!」
頬を赤くしながらも真っ直ぐ見るように相手を見上げる香奈恵ちゃんに相手は「どういたしまして」と優しそうに返す。
嬉しそうに話す香奈恵ちゃんによかったねと心の中で思っていると急に腕を引かれて体のバランスを崩してしまう。
驚いて引っ張られたほうを見ると引っ張ったのが相原君の右手でビックリする。
抱えるように持っていた袋はいつの間にか左手で持っていた。
「相原君?」
「三崎はあいつと知り合いなの?」
「えっ?」

