休み明けでいつも以上に賑やかだったクラスのみんなも授業が始まればだんだんと静かになっていく。

 一時間目が終わって二時間目三時間目と時間が経っていくと眠そうにしている人が増えていく。

 私は一番後ろの席だから前の人達の様子が結構見える。

 午前中最後の授業の四時間目が始まると特に眠そうな人が多く見えた。

 香奈恵ちゃんも眠そうに目をこすっているのが見えて心配になる。

 今行われている国語を担当している南谷(みなみや)先生は、居眠りをしている生徒を見つけると起こしてすぐに教科書を音読させたり、放課後に呼び出して個別に注意をするなどで有名な先生だからみんな眠らないように必死に見える。

 板書をいったん終わらせた先生がこちらを向き、ノートに写し終えた私とふと目が合った――と思ったら先生は視線を横に動かして表情を変えて口を開いた。

「相原!」

 先生の低くも大きな声に思わず肩をびくりと動かした私は呼ばれた名前に横を見る。

 呼ばれた本人である相原君は、教科書を開いて立てた状態にしながら顔を机に伏せるようにつけていた。

 どうしよう! 相原君寝ちゃってるみたい……。

 一度の呼びかけで起きない相原君のところに先生が力をこめたような足取りで近づいてきてる!

 クラスの視線が集まっていく中でも相原君の顔は伏せられたままで、あっという間にたどり着いた先生は立ててあった教科書を持ち上げて片手に持つ。

 それから相原君の耳元に顔を近づけた。

「相原! いい加減に起きなさい!」

「うわぁっ!」

 至近距離で声をかけられた相原君がガバッと顔を上げると体の動きにつられて椅子がガタガタと音をたてた。

 辺りをキョロキョロと見て、それから先生の顔を見た相原君の顔が引きつるのと先生が「今日の放課後、職員室に来なさい」ともう一度口を開いたのはほぼ同時に見えた。