翼がそんな風に思っていてくれたなんて知らなかった。

 小さい頃は翼の調子がいい時に一緒に外に遊びに行ったりしてた。

 年が離れているし昔から体調を崩すことの少ない私は翼よりも体格がよく、翼の手をしっかりと握って外を歩いたり近くの広場で遊んだり。

 今となっては一緒に遊ぶ機会はなかなかないけれど、スプーンをグッと握るように持ちながら私に話す翼の目が力強くて真剣なんだなと思う。

 翼の言葉が嬉しくて思わず私は顔がほころんだ。

「ありがとう翼」

「なんでお姉ちゃんがお礼を言うの? いつも看病してもらっててお礼を言うのは僕のほうなのに」

 「変なの」と言ってふふふと笑う翼に「変じゃないよ」と私も笑ったまま返し、食べかけのゼリーを食べるように促したのだった。