ふたを開けてとってわたすと翼は嬉しそうに口元をゆるませてスプーンをゼリーにうめていく。

 甘いミカンの香りが私の鼻にも届き、翼はゼリーをスプーンですくってパクリと一口。

 パクリ、パクリとゆっくりながらも食べていく様子に食欲はあるようで本当によかった。

 翼の様子を見ていて彼の手に視線がいく。

 翼は男の子だけど姉の私と顔立ちがわりと似ている。

 翼の髪色は焦げ茶色だけど、私といると家族だということはこちらからあまり言わなくても分かってもらえるくらいには。

 まだ小学生だから私よりも背が低いけどいつかは追い越されるのかもしれない。

 私の手を包むようにした相原君の手は私よりも大きくて、身長の差があっても男の人なんだと翼の手を見つめたまま思い返す。

 それから翼が大きくなった姿を思い浮かべてみると笑みがこぼれてしまって翼のスプーンを動かす手が止まった。

「お姉ちゃんやっぱり変だよ? もしかして具合悪いの……?」

「ううん。翼が大きくなったらどんな人になるのかなって考えてただけだから」

「僕まだ小学生だよ? ――でもね、大きくなったら体が今よりも元気になるようにして、お姉ちゃんもお母さんもお父さんもみんな守りたいな」

「翼……」