「俺も自分でそう思ってた。だけど三崎は笑わずに俺のために答えをくれただろ? 俺、そういう話をちゃんと聞いて返してくれるのってすごい三崎のいいところだと思う」
「だから自信持ったほうがいいと思う」と言い終わった相原君はまた私のほうを見上げてぱっと笑った。
そんな風に言ってくれたのは相原君が初めてで胸がギュッと苦しくなる。
だけど悲しいとか嫌とか、そんなマイナスの気持ちにはならなくて。
なんとか「ありがとう」と返せば「俺のほうこそありがとな」と返ってきてまた胸がギュッとなった。
――その後は二人とも無言のまま私の家に着いた。
相原君は私の買い物袋をこちらに渡し、「ありがとう」と言う私に元気な声で「またな!」と言い手を振ってから走って行った。
遠くなっていく相原君の後ろ姿を、変わったことはないかとお母さんからの電話が鳴るまでの少しの間、ぼんやりと見ていたのだった。
***
「お姉ちゃんどうしたの?」
「――えっ」
呼びかけにハッとして瞬きを繰り返す。
目の前のベッドに入って上半身を起こしている翼の姿にまたぼんやりしてしまったのだと思う。
私とお父さんが夕飯を食べ終えてしばらくしてから翼はお母さんと帰って来て、すぐ翼の部屋に連れて行って眠る前にお粥を食べてもらっているところだったんだ。
「ちょっとボーッとしてただけ。はい、ゼリーもあるよ」
翼の手元を見ると茶碗によそっていたお粥は綺麗になくなっていて私は慌てて茶碗を受けとりゼリーをわたす。

