「三崎と話せてよかった。バイトのことも聞けたしさ」
「……私じゃなくても知ってる人はいると思うよ」
確かに私は広人さんのことがあって思い出したけど、先生や知り合いから聞いて詳しい人はいると思う。
思わず顔をうつむき加減にすると歩く先に小石があって靴に当たるとコツンと飛んでいった。
もう直ぐ家に着くなとぼんやり思っていると相原君が小走りをして私の進路をふさいだ。
買い物袋を両手に持ったまま通せんぼうをするので私の足も止まってしまう。
私が相原君に視線を合わせると彼は笑みを消して真っ直ぐに私のほうを見ていて体が緊張していく。
「あのさ、何で三崎はそんなに遠慮するの?」
「え……」
「なんか寂しそうっていうか困ってるっていうか、そんな顔してる」
「それは……」
――自分に自信がないから。他の人に嫌われるのが怖いから。
だけどそんなの人にはっきりとなんて言えないよ……っ。
相原君に言葉を返せなくて私はうつむいてじっと自分の靴の先を見る。
香奈恵ちゃんならきっと上手く言葉を返して切り抜けられるんだろうけど、私に上手い言い訳なんて考えつくはずもなくて。
考えれば考えるほど自分に自信がなくなっていくだけ。

