「まだ五月だけどもう暑い日が多いな」
「あ、うん。そうだね……」
指定鞄を肩から斜めがけにしている相原君は両手に買い物袋を持って、「夕方なのにあちー」と言いながらもにこにこして歩道を歩いてる。
私も横を歩きながら相原君をチラチラと見ているけど相原君が買い物袋をわたしてくれる様子はない。
家に帰る方向が違うならまだ言えるけど、この前帰った時は私の家の方が学校に近くて相原君の家の方が距離があるみたいだった。
よく分からないけれど荷物を持ってくれているのにそれを無理にわたしてもらうように言い出すこともできず、私は相原君の話に時々相づちを打つように言葉を返す。
中間テストの話になると相原君は眉を寄せて何だか難しい表情を浮かべ、私達の横を小学生くらいの男の子が三人、それぞれが携帯ゲーム機を持ちながら前方に走っていくと話題はゲームに。
ゲームの話を始めた相原君はとても嬉しそうな顔をしていてすごく好きなんだなと思う。
私も可愛い物を見たり話をしたりすると嬉しい気持ちで胸が弾むからちょっと共感。
「相原君はゲームが好きなんだね」
「おう! ネットを繋げば色んな人と対戦できるし飽きないんだよなぁ。欲しいソフトがあってもけっこー高いのが悩みだけど」
「バイトができたらいいけど今でも成績がわりとヤバいからなぁ……」と嬉しそうな顔から一転、困ったように笑う相原君に何かいい案はないかと歩きながら考える。
私達の学校は許可をもらえればアルバイトをすることができる。
だけど、アルバイトを希望して許可をもらうには最低限平均以上の成績がないと難しいって一年生の時にクラスメイトが話してるのを聞いた。

