ゴールデンウイークが終わって最初の平日である今日。

 天気は連休から続いている晴れのままで登校途中の空は綺麗な青空だ。

 所々に雲が浮かんでいるけれど視界に広がる割合はほんの少しで、時々飛んでいる鳥の姿が遠くに見えてあっという間に通り過ぎていく。

 ……って、近くを歩いていた人が少ないような……?

 人の気配が少なくなったことに気がついて辺りを見ると、同じ制服を着た人達はほとんど前の方を歩いていた。

 いつの間にか空を眺めるのに夢中になって足が止まっていたみたい。

 教室で待ってくれていると思う香奈恵ちゃんに心配をかけたくないと思った私は歩く速さを上げて学校を目指した。


***


「葵ちゃんおはよう!」

「おはよう香奈恵ちゃん」

 学校に着いて少し急ぎ足で教室に入って席に着くと香奈恵ちゃんが笑顔でそばに来てくれた。

 香奈恵ちゃんは肩までの茶色がかったゆるいウェーブヘアーで目はたれ目がち、可愛くてさっぱりとした性格。

 ボブくらいの黒髪に焦げ茶色のややつり目で、色々考えて気にすることが多い私にとって憧れの女の子でもあるんだ。

 香奈恵ちゃんは笑顔のままで私の机の上に可愛いプリントがされている袋をポンと置いて「お土産だよ!」と明るい声で言った。

「北海道に住んでるおじいちゃんとおばあちゃんの所に行って来たんだけど、このお菓子すっごく美味しいから葵ちゃんに食べてほしくて買ってきちゃった」

 「よかったらお家の人と食べてね」と続けた香奈恵ちゃんに私は嬉しい気持ちでいっぱいになる。

 高校に入学して出会った香奈恵ちゃんとはまだ一年のつき合いだけど、時々それを忘れちゃうくらい香奈恵ちゃんは仲良くしてくれる友達で。

 袋を両手で持ちながら、私は「ありがとう」と感謝の気持ちを精一杯こめて返した。