帰り道の途中で香奈恵ちゃんと別れて近くのスーパーへと足を向ける。

 小さい時から行っているそのスーパーに行くのもご飯の準備も嫌じゃない。

 だけど、私が急にお母さんに頼まれてそれをするのはほとんど翼が急に体調を崩した時だからいいものじゃなくて。

 弟の翼は小さい時から体が弱くて体調を崩しがち。

 今日みたいに急に高熱を出したりすることもあるし風邪が悪化してしまったりすることもある。

 小学校高学年になって回数は減ったけど、ベッドの上で辛そうにしているのを見ると私がかわってあげられたらっていつも思う。

 ……だけど昔私が熱を出した時に翼がビックリして大泣きしたものだから翼も後を追うように熱を出して二人一緒に寝ていたこともあったな。

 それならやっぱり私は心配をかけないように体調に気をつけて元気でいようと思った。


***


 迷うことなくスーパーに入ると「いらっしゃいませー」といくつもの高い声が聞こえる。

 店内は明るくて棚には商品がたくさん並んでいて、小さい頃は店内を歩き回るだけで楽しかったな……って今はのんびりしている場合じゃないんだった。

 私はお母さんからいつ連絡がきてもいいように鞄を左手に持って右手にスマホを持っていたから右手を動かして届いていたメールを開く。

 メールはお母さんからで買っておく物が書かれていた。

 ……うん。これだけ買うなら私の持ち手のお金で十分足りそう。

 時間短縮のために真っ直ぐお店に来てよかった。

 出入り口の近くに置いてある買い物かごを一つ、鞄を持っている方の手に持ち、私は店内を歩く人の中を通って行った。