休みが明けてまた学校が始まる。
いつも通りに慣れた通学路を歩いて登校して教室に向かう。
今日はのんびりせずに来たからクラスにいる生徒は半分くらいで香奈恵ちゃんもまだ来ていないみたい。
近くにいた人に挨拶をしながら最後列の自分の席に向かうと相原君が大きなあくびをしているところだった。
目をこすってすごく眠そうだけど大丈夫かな?
……あ、目が合った。
ゴシゴシと目をこすり終わると相原君はこっちを見たままぱっと笑う。
「おはよう! 一昨日はメール返してくれてありがとな」
「私のほうこそメール送ってくれてありがとう」
「あのぬいぐるみ大きくて可愛かっただろ? だから三崎に見せたくてさ」
「え……っ」
座ろうと椅子を動かした手が相原君の言葉で止まる。
あのぬいぐるみが可愛いから私に見せてくれたの……?
今は香奈恵ちゃんがいるけど、香奈恵ちゃんと家族以外に可愛い物の情報や実物とかを私に対して直接教えてくれたり見せてくれたりした人はずっといない。
男の子からそんな風に言ってもらったことなんて小学生の時にあるかどうかくらいで。