新学期。無事に進級して高校二年生になった私。

 一年生の時に同じクラスになって仲良くなった坂本香奈恵(さかもとかなえ)ちゃんとまた同じクラスで二人で喜びながら、掲示板に張り出されていたクラス表に従って教室へ向かう。

 タン、タン、と足音を鳴らして階段を上っていけば、一年生の時と同じような廊下だけど自分の気持ちからか雰囲気が違うような気がする。

 どんな人と同じクラスになるのか、浮き立つ気持ちと不安を感じながら廊下を進んで教室のドアを開けた。

 ガラガラと音をたてるドアに負けないほどに教室の中は生徒の声で賑わっていて、足を進めれば近くにいた何人かが「よろしくね」と声をかけてくれて緊張が少し解れていく。

 席はあらかじめ決められているようで香奈恵ちゃんとは一時お別れ。

 黒板に書かれている席順の通りに席にたどり着けば隣にはもう男子生徒が座っていた。

 話したことのない異性ということにまた緊張し始める体。

 けれど隣の彼に伝わるはずもなく、彼は椅子を引いて座った私の方を向いてにっこりと笑った。

「俺、相原真琴(あいはらまこと)。よろしくな!」

 耳にかかるくらいの長さの焦げ茶色に近い髪と、焦げ茶色のややたれた目を持つ相原君の笑顔が私の目にはキラキラと輝いて見えた。

「みっ、三崎葵(みさきあおい)、です。よろしくお願いします」

 上擦った声で返した私に気にする様子もなく、相原君は笑みを深めただけで。

 ――相原君の第一印象は、太陽みたいな笑顔を浮かべる人だった。