ラグタイム

「ああ、はい…。

ありがとうございます…」

あたしは黒崎さんの手から紙袋を受け取った。

「更衣室は厨房に入って、まっすぐ行ったところにトイレがある。

その隣が更衣室だ。

あいつらはまだきていないから、今のうちに急いで着替えろ」

「あ、はい…あの、藤本さん」

「何だ?」

あたしは藤本さんにつかまれている腕に視線を向かせた。

「いつまであたしの手を握っているつもりなんですか?」

そう言ったあたしに、
「ああ、悪かったな」

藤本さんはようやくつかんでいるあたしの腕を離した。

「と言うか、お前がチンタラしてんのが悪いんだろうが」

思い出したと言うように、藤本さんが言った。