ラグタイム

「どうした?」

兄貴の声に、あたしはハッと我に返った。

「ああ、何?」

そう聞いたあたしに兄貴は耳元に唇を寄せると、
「いるんだろ?」
と、ささやくように聞いてきた。

「えっ…」

「いいよ、今は言わなくても」

兄貴はそう言った後、耳元に寄せていた唇を離した。

「まあ、いいんじゃないか?」

その声に視線を向けると、藤本さんだった。

「えっ、あの…」

戸惑っている翼に、
「今度お前の彼女ってヤツを紹介しろよ」

藤本さんはそう言った後、プイッとあたしたちから目をそらした。