ラグタイム

武人だった。

最初は、少しだけ近寄りがたかった。

彼があたしと同い年だって知った時、驚いたっけな。

藤本さんの抜き打ちチェックで料理を作らないといけないことになった時、武人はすぐに気づいて協力してくれた。

閉店後、自分も疲れているのにあたしに料理を教えてくれた。

兄貴のことだってそうだ。

駆け落ちだ不倫だって言っていたあたしを、武人は大丈夫だって言って励ましてくれた。

あたしが落ち込んでいる時や痩せた時もそうだ。

武人が真っ先に気づいて、心配してくれた。

大衆の前でお客さんに告白された時も、武人はわざわざ厨房から出てきてあたしを助けてくれた。

七夕の日に2人で見た天の川も、今でも覚えている。

兄貴が帰ってきますようにって、武人も一緒に願ってくれた。

その時に、女として武人の女性不信を治したいって思ったんだ。