ラグタイム

「大輔さん」

沈黙を破るように藤本さんの名前を呼んだのは、翼だった。

「明日朝貴さんを連れてくると言ってましたけど、彼はどうなってしまうんですか?

クビになってしまうんですか?」

そう聞いた翼に、
「それは…」

藤本さんは困ったと言うように翼から目をそらした。

その様子から、あたしは藤本さんは迷っているんだと言うことがわかった。

1度自分の前から姿を消したとは言え、藤本さんは兄貴を弟のようにかわいがってきた。

兄貴をクビにすることは、今の今まで彼と共に歩いてきた人生を捨てることになってしまう。

「翼」

翼の名前を呼んで声をかけたのは、武人だった。

「詳しいことは明日になったら全て決まる。

今は、朝貴が見つかったことを喜ぼう」

諭すように言った武人に、翼はわかったと言うように首を縦に振ってうなずいた。