ラグタイム

突然のことに藤本さんと黒崎さんはもちろん、あたしと武人も驚いた。

そうだ、翼は知らないんだった。

兄貴が客の女――たぶん、一緒に写真に写っている女の子だと思うけど――と駆け落ちをしたことを、彼は知らなかったことを思い出した。

「あなたたちに僕たちにバレると困る隠し事があったことはわかっています。

どう言うことなのか説明してもらえませんか!?」

「翼、やめろ」

「そうだ、落ち着け」

強い口調で問いつめる翼を、あたしと武人は止めに入った。

「すまなかった!」

藤本さんが長身の躰を2つ折りにして、あたしたちに頭を下げた。