立ち止まって待っていたら、翼があたしの隣に並んだ。

「どうしたんだよ?

そんなにも急いで。

トイレか?」

そう聞いたあたしに、
「いや、違うんだよ。

これを見てくれよ!」

そう言って翼はあたしの前に雑誌を差し出した。

「『フィルム・ライフ』、何だこれ?」

差し出された雑誌はカメラ関係の雑誌のようだった。

「僕の彼女――直美さんって言うんだけど、彼女がこの雑誌で開催されている写真大賞に写真をエントリーしたんだ!」

興奮しているのか、翼の口調は早口だった。