ラグタイム

「でも、その規則が出されたのはつい最近のことなんだ。

夕貴さんが『ラグタイム』で働き始める前に聞かされた」

「…そうなの?」

あたしが働き始める以前はそんな規則はなかったんだ…。

「正確に言うなら、朝貴さんが失踪してから聞かされたと思う。

大輔さん、彼が失踪してから妙に神経質になっちゃって」

翼は呟くように言った後、息を吐いた。

そう言っている翼の様子から、藤本さんは傷ついたんだと思った。

兄貴が客の女に手を出したうえに駆け落ちをしたことは、藤本さんに大きなショックを与えたようだ。

彼からして見たら、信じていた人に裏切られたようなものだろう。

「だけど、これだけは信じて欲しいんだ」

翼が言った。