ラグタイム

「どうかなさいましたか?」

ホールには黒崎さんもいた。

彼もあたしが女だと言うことを知っている人の1人だ。

状況的には好都合だと思いながら、
「もしかしたら、武人にバレたかも知れないんです」

あたしは声をひそめて、藤本さんと黒崎さんに言った。

「ば、バレたって…」

「一体、どう言うことなんですか?」

藤本さんと黒崎さんは戸惑っている。

「今日終わったら一緒にきて欲しいところがあるって、武人に言われたんです。

バレたにしろ何にしろ、もしかしたら気づかれたんじゃ…!?」

そう言ったあたしに、
「待て、落ち着け」

藤本さんがなだめるように言った。