ラグタイム

「武人は『ラグタイム』でシェフ兼ソムリエとして働く前、料理教室の先生をしていたんだ。

そこの生徒の女が武人のことを好きになっちゃって、挙げ句の果てにはストーカーのようなことをされたんだ。

武人が注意したら、彼女はおいおいと泣き出したうえに教室内で暴れる始末。

そのせいで授業にならなくて、生徒のほとんどがやめてしまったんだ」

藤本さんは思い出したと言うように、悲しい顔をした。

「そうだったんですか…」

だから店の中で暴れたらどうするとか、ストーカーされたらどうするとかって言ってたんだ。

「それで、どうなったんですか?」

そう聞いたあたしに、
「その当時、朝貴が生徒として武人の料理教室に通ってたんだ。

あいつが武人と彼女の間に入って、ことを終わらせたんだ」
と、藤本さんが答えた。