ラグタイム

藤本さんは首を傾げた後、テーブルのうえにグラスを置いた。

「この間、武人が夕貴を叱ったことがあっただろ?」

そう言った藤本さんに、
「ああ、あれですね。

あの後、武人が謝ってくれたから大丈夫ですよ」

あたしは言った。

「いや、そう言う意味で言ったんじゃないんだ」

藤本さんは息を吐くと、
「あいつが何であんなになっていたかって言うと…あいつ、ストーカーされてたことがあったんだ」
と、言った。

「えっ?」

あたしは聞き返した。

「ストーカーって…武人が、ですか?」

「したんじゃなくて、されたの方な。

もう少し説明するなら加害者じゃなくて、被害者の方」

「ですよね…」

あのまじめそうな武人がストーカーをするとは思えん。