ラグタイム

あたしは2つ折りの紙を手にとると、開いた。

「えっ!?」

そこに書いてあった文字に、あたしは目を疑った。

“探さないでください”

少しクセのあるこの字は、間違いなく兄貴が書いた字だ。

「あの、どう言うことなんですか?」

聞き返したあたしに、
「それと朝貴のケータイが自宅のテーブルのうえに置かれていたんだ」

藤本さんが答えた。

「と、と言うか、警察へ行ったんですか!?

まだ行っていないなら、今すぐ捜索届を…」

そう言ったあたしに、
「すぐに警察へ行ったんだけど、ヤツらは俺たちを相手にしてくれなかったんだ」

藤本さんが息を吐いた。