ラグタイム

藤本さんは唇を開くと、
「2日間休んだ翌日、朝貴は店にこなかった。

ゴールデンウィークで客も少なかったし、もしかしたら疲れて寝てるんだろうなと思って、その時はほったらかしにしたんだ。

だけど、あいつはその翌日になっても店にこなかった。

朝貴のケータイに連絡を入れても出ないし、メールを出しても返ってこない。

それが1週間も続いたから朝貴の身に何かがあったんじゃないかと思って、俺と黒崎さんはあいつのマンションを訪ねた。

そしたら…」

テーブルのうえに何かが置かれた。

青いスマートフォンと2つ折りにされた白い紙だった。

「な、何ですか?」

テーブルのうえのそれらを指差したあたしに、
「紙の方を開けて読んでみろ」

藤本さんが言った。