ラグタイム

あたしは我に返って、
「ああ、すみません…」

また謝った。

今朝見た武人の上半身ヌードがまだ頭の中を引きずっているらしい。

いい加減に忘れろ。

今のあたしは男だ。

男が男の裸に欲情してどうする。

変な風に思われるだろうが。

必死で自分に言い聞かせていたら、ふと思った。

じゃあ、女だった場合はどうなんだろう?

女のあたしだったら、欲情しようが何をしようが関係ないよね…?

そう思ったけど、やめた。

兄貴が帰ってくるまでの間は男でいることになっているんだから…と、自分に言い聞かせた。

「夕貴、注文」

「はい」

藤本さんに言われて、あたしは厨房から立ち去った。