ラグタイム

「すみません…」

呟くように謝ったあたしに、
「仕方ないな。

大衆の前で、そのうえ大きな声で愛を叫ばれたんだから」

藤本さんはやれやれと言うように息を吐いた後、ポンとあたしの頭をなでた。

「はあ、参ったもんだよ」

武人が戻ってきた。

「おう、ご苦労だったな」

藤本さんはポンと武人の肩をたたいた。

武人はグラスを手に持つと、シンクの方へと持って行った。

グラスに水を入れると、グイッとそれを飲み干した。

へえ、なかなかいい後ろ姿だな。

しゃんと伸ばされた背筋に見とれてしまっていたら、
「夕貴」

藤本さんに名前を呼ばれた。