ラグタイム

「あー、心臓に悪い…」

あたしは息を吐くと、制服に着替えた。

高身長と貧乳で何とかなっているものの、こっちもバレるのがある意味時間の問題だよ。

「男の裸を見て驚くって…。

ここでは双子の弟って言うことになっているんだからもう」

1ヶ月勤めたから男と女の切り替え方が上手になったと思っていたけど、そうでもなかったみたいだ。

疑われなかったと言うのが幸運なくらいだ。

それよりも、
「駆け落ち、か…」

鏡の中のあたしは、当たり前だけど兄貴にそっくりだ。

兄貴は失踪したんじゃなくて、客の女と駆け落ちをしたなんて…。

「どうして駆け落ちなんかしたんだよ…」

鏡の中のあたしに向かって呟いても、兄貴じゃないから答えてくれる訳がない。