あたしが今言った言葉を、武人はどう言う風に受け止めたのだろうか?

もちろん、早く料理を覚えて藤本さんを驚かせたいと言う気持ちはある。

だけど本当は…もう少しだけ、武人と2人きりでいたかったんだ。

「明日は夕貴が閉店後の掃除当番だろ?

今日はにんじんを1回切っただけだったけど、明日はたまねぎとかじゃがいもとかのいろいろな野菜を切ることに挑戦しよう」

そう言った武人に、
「わかった。

俺、頑張るよ」

あたしは笑いながら言った。

「じゃあ、俺はここを片づけて戸締りの確認をするから。

夕貴は先に着替えて帰ってくれ」

「うん、お疲れー」

「はい、お疲れ様」

武人に向かって手を振ると、彼もあたしに向かって手を振り返してくれた。