あの電話のあと、
大きく開いていたわたしたちの距離は
少しずつ縮まっていった。

仕事が終わった荻野さんが
話しかけてきた。


「お疲れさん。どう?」

『もうちょっとかかりそうです』

「ごめんなぁ、
俺が会議用のパソコン占領してたから
遅くなってるんやんな」

『わかってるなら、手伝ってくださいよー』

「すいません、それだけは勘弁を……
今度ジュース奢るから許して」

『許しません』

「悪かったってー」


あれだけ話づらかった荻野さんと
こんなにも普通に話せるようになった。

視線は、まだ合わせにくいけど
前よりマシになった。