「...分かった、もう、いい」



「んん!!――っは、やめっぅん――!」





 ルミアの説得もむなしく、ジンノは再び口づけを落とす。



 先ほどまでの荒々しさはない。



 だが、ジンノの手がルミアの服の下に差し込まれ、肌の上をなぞり始めた。



「...どうせ無理なら、アイツより先にお前の全てを奪ってやる」



 口づけの合間に囁かれた内容に、背筋がぞっとする。



 抵抗しようにも、魔法が使えなければ、力の差など明らかだ。



 完璧に手足を押さえ付けられ動きが取れない。



 おまけに、徐々に意識が薄れ始めるルミア。



(なん、で......?)



 手足の感覚までなくなっていく。



 ジンノの唇は、首筋、鎖骨とゆっくり下がっていくが、その時にはもう声も出せなくなっていた。



 体中に落とされる幾多の口づけと、何度も繰り返される愛撫。



 その間も心の中で何度も抵抗した。



 意識が途切れる寸前、



「...ごめん、ルミア...」



 そう言って、唇に再度キスが落される。



 その時、最後に視界に映ったジンノは、やっぱり、泣いていた。



(にいさん、の...なき、むし......)





 ルミアはそのまま、深い闇の中に意識を手放したのだった――