「ジンノ・プリーストン、ルミア・プリーストン
両名の国外追放を命じる」
















ルミアは、その言葉を飲み込むのにしばらくの時間を要した。



ここは、国王シルベスターの執務室。



当然目の前にはシルベスターがいる。



豪勢だが品のいい立派な椅子にを背を預け、こちらを見る彼は、特に冗談を言っているようには見えなかった。



木彫のデスクを挟み、シルベスターと向かい合うようにして対峙するルミアとジンノ。



(国外、追放......)



シルベスターが言ったその言葉に困惑するルミアに対し、ジンノは流石、初めこそ目を見開き驚きを顕にしたが今は何時もと変わらぬ平静を装っている。



「理由を、お聞きしたい」



さらに、そんな質問をする余裕まで垣間見せて。



しかし、ルミアもそれは聞きたかった。



入隊試験からまだ2日。



何故突然こんな状況になったと言うのか。



「理由か......そうだな、あえて言うとすれば、君達が強すぎるということかな」



「え、...」



強すぎる?



だから?



まだ、理解できていない。



追い討ちをかけるように、シルベスターは言葉を続ける。



「この国に、もう“バケモノ”はいらない」







・・・・・・



執務室に、沈黙が広がる。



心優しい、国民からも信頼を置かれているシルベスター。



まさか彼の口からそんな言葉を聞くなんて。



サッと血の気が引いていく。



けれど、途端に冷静になっていく自分もいる。



ああ、やっぱりそうなのかと。



色んな人にそう言われて生きてきた。



自分でもそれはわかってる。



(麻痺してたんだ、この幸せな生活に......)



自分がバケモノである事を、再び突きつけられる。



もはやこの言葉で傷つきはしない。



だが、悲しかった。



信じていた人に、その言葉を言われたことが。



ただ無償に、辛かった。