櫻の王子と雪の騎士 Ⅱ






「...俺は、その当時の当主の娘であるミントをクダン一族とともにアイルドールに匿う仕事をしていた。勿論、ミント自身も王都に戻ろうとしたが、元々体の弱かった彼女は、俺達の説得に応じ、一人アイルドールに残った」



 孤独を紛らわすべく、リンドブルムはアイルドールのミントの元に頻繁に通った。



 顔を合わせ、言葉を交わす



 何度も何度もそれを繰り返すうちに愛が生まれ、そして、子が出来た。



 それがルミア。



 その時のことを思い返しリンドヴルムは頬を緩める。



 シュネシファーは何も言わずにただ、窓の外を眺めるだけ。



「...身体がとても弱かったミントは、出産の数日後に亡くなった。当時すでにシュネシファーと結婚しジンノがいた俺は、シュネシファーに嘘をつく事もできず離婚しようと申し出たんだがな」




 シュネシファーはまだ赤子のルミアを気遣い、四人で家族になろうと言った。



 自分を愛してくれなくてもいい。



 幼いルミアの事を考えて、



 その言葉にリンドヴルムは甘え、ルミアはプリ―ストン家の家族となったのだった。







 最初のうちはよかった。



 新しく娘が出来たと思えば。



 けれど、年を重ねるうちにルミアはどんどん美しく、ミントの面影を映すようになった。



 そしてそんなルミアを、リンドヴルムはこれでもかと寵愛した。



 結果、我慢し続けていたシュネシファーは、ついに怒りを爆発させた。



 その怒りをリンドヴルムではなく



 自分から愛する夫を奪ったミント、その面影を残すルミアに向けるようになったのだった。