このままではいけない。
そんなこと考えなくても分かる。
ジンノは全身に力を込めた。
「ッうう!!!」
魔法で封じられた動き、そして自身の魔力を無理やり解き放とうとする、
歯を食いしばり、力の限り抗う。
そのせいで、ジンノの周りではバチバチと魔力が音を立てて鳴り、生身の体が耐えきれずに裂けて血が流れる。
「ジンノさん、やめろ!!このままじゃ死んじまう!」
状況が全く分かってないネロでも、ジンノが危ない状況であることは分かるのだろう。
血相を変えてそう叫ぶ。
しかし、ジンノはやめる気配はない。
瞬く間にジンノの体が血で真っ赤に染まる。
床にもぼたぼたと血が落ち、信じられないくらい大きな血だまりができる。
それでもやめるわけにはいかなかった。
ルミアを死なせるわけにはいかない。
たとえ自分が死んでも。
まさに必死なその姿を、どこか他人事のように見つめていたルミアは、聞こえるか聞こえないかの小さな声でつぶやいた。
〈ブライト〉トッド・ブレス
それは眠りの魔法。
ネロが先に、つぎにシルベスターが力が抜けたように倒れた。
ジンノの目が見開かれる。
「ル...ミ......ッ!!やめ、ろッ......!」
「ごめんね...でも、貴方に死んで欲しくないの」
分かってくれるよね
あの時、貴方もこうしたの。
私とあなたは本当によく似ている。
だって
兄妹だもの。
たとえ血は繋がってなくても、共にいた時間がつなげてくれた
紛れもない兄妹
私はそう、信じてる。
ジンノの頬に涙の様に流れ落ちた真っ赤な血を指ですくい、ルミアは微笑んだ。
「ばいばい」
意識が遠のくジンノは、心の中で何度も叫ぶ。
やめろ
やめてくれ
また消えてしまう
俺の大切なものが消えてしまう
もう失わないと誓った
その為に強くなった
なのに
また俺は守れないのか
自分の目の前で、死に向かい飛び立つ瞬間何もできずに見るだけなのか
何の為に
何の為に...
血濡れになりながらも抗い続けたジンノは、そのまま目を閉じる。
閉じられた瞼から本物の涙が頬をゆっくりと伝っていった。


