櫻の王子と雪の騎士 Ⅱ






「おお!!グロルじゃんないか!!久し振りだなあー」



 男の方が突然声を上げる。



 すると女性の方も気づいたのか、目を丸くした。



「あらホント。ってことはちゃんとフェルダンに戻ってこれたのね!良かったわあ、何年ぶりかしら」



 両手を頬にやり、にこにこと笑う。



 本当に嬉しそうだ。



「お前ら...!!生きていたのか...!!!」



 対してグロルは驚愕の表情。



 それも当然。



 何せ彼らは何年もの間消息不明で、最早死んだものとされていたから。



「リンドヴルム副隊長に...シュネシファー副隊長!?本物ですか!??」



 アポロも思わず立ち上がりそう叫ぶ。



 プリ―ストン家当主であり、ジンノの父親であるリンドヴルム・プリ―ストン



 その妻シュネシファー・プリ―ストン



 二人はかつてアポロがまだ騎士見習いだった頃、一代前の特殊部隊で副隊長を務めていた。



 数年ぶりに見る彼らは当時と遜色ないほどに若くそして、美しかった。



「アポロか!!少し見ないうちに大きくなったなあ!」



「まあ!かっこよくなっちゃって。あの頃の可愛いアポロちゃんはもう見れないのねえ、残念だわあ」



 終始ハイテンションで二人は盛り上がる。



「一体今までどこに行っていたんですか!?心配したんですよ」



 アポロの一言にシュネシファーは目を丸くする。



「あら、心配してくれたの?嬉しいわあ
 ...ジンノさんも心配してくれた?」




 しかしその質問により空気は一気に悪くなる。



「...うっせーな。あんたたちの心配なんて一ミリもしてねえよ。本当なら国に戻ってきてほしくもなかった。死んでりゃよかったんだあんた達なんか」



「...あ......ごめん、なさい......」



 実の親に向ける言葉とは思えない返答に、シュネシファーは傷ついたように顔を伏せた。



「ジンノ!お前、母親になんて口を...」



「母親?ふざけんな、俺はあんたたちを両親なんて思ったことはない。ルミアの事を忘れたわけじゃねえだろ」



 恨みのこもった眼で実の両親を睨み付ける。



 思い当たる節が多すぎて、リンドヴルムもまた気まずそうに目を逸らす。



「俺があんたたちをこの世界にわざわざ呼んだのは、生きているのなら『オルクス』の一族としての存在意義位全うしてもらわないと困るからだ」



 冷たい一言にその場の雰囲気は酷く悪くなった。