時計の針が真上を向く
闇は一層深くなり、朔の夜はその半分を終えた。
「さて、本題に戻ろう」
ジンノはそう言ってゆっくりと自身の手を真上に挙げた。
何をするつもりなのかとグロルたちは眉を顰める。
「...一つ礼を言っておく。お前たちがこの日を選んでくれてよかった」
「......?何を...」
困惑する彼らをあざ笑うようにジンノは言う。
「今宵、貴様らに審判を下そう...我々『オルクス』の全てを以って」
〈ダーク〉ラウムツァイト・リザレクション
その呪文の直後、ジンノの手から突如真っ黒な闇があふれ出した。
それはジンノの周囲を渦巻き、やがて教会内を埋め尽くすほどにまで広がった。
「ッ!!!何これ!!?」
暴風の様にして吹き荒れるそれにグロルを始め、アネルマ達も思わず目をつむり、腕で顔をかばう。
薄く目を開いたグロルはジンノの足元に、大きな穴があることを確認した。
そこでようやく気が付く。
彼が使った魔法の正体に。
徐々に薄くなっていく闇の中、グロルは信じられないものを見るように、ジンノがいたほうを見つめる。
「まさか...!!」
シルベスターの治癒をしていたアポロも同じように驚きに目を瞠らせる。
闇が晴れ、
そこに立っていたのは一人ではなかった。
ジンノの隣を陣取る二人の人物。
齢は四十半頃だろうか
それ以下にも見えるほどその二人は美しかった。
ジンノによく似た冷めた表情に、無精ひげを生やした黒髪の男と
綺麗な金髪を一つに結った麗しい女性
その目元はジンノにそっくり
彼らは、そう、水の京アイルドールで占星術師ロードに見せた、プリ―ストン家唯一の写真
そこに映っていた二人
かつて、ルミアが死んですぐ、その姿を消した
ジンノ達の両親だった―――


