その『力』を、純粋に欲しいと思う。
けれどその力を持つ者は、たった1人の『妹』に固執し、
その『妹』は、自分達とは相反する、悪や欲などとかけ離れた場所にいた。
「何度も言わせるな。答えはノーだ」
ジンノは当然のようにそう答える。
「分からんな...どうして断る。お前はこちら側の人間だろう」
そうだ。
ジンノとグロル
二人は正反対の立場に立っているように見えて、その違いは紙一重
『オルクス』の血を引きながらも、忠誠を誓ったはずの王族を憎み手すらかけられる異端の存在であるジンノ。
いつ、グロルの様になってもおかしくはなかった。
「まあな。確かにお前の言う通り、だが俺とお前に大きな違いがある」
それは
「目の前に光があるかどうかだ」
闇の魔法使いは本能的に闇を欲する
ある人は夜空に見惚れ、またある人は光を閉ざすようにして生きる。
狂気に走り、間違いを起こす人間が多いのもまたこの影響の一つとされる。
ジンノも闇の魔法使いであるから、その感覚が分からなくはない
だがグロルやアネルマ達フィンステルニス一族と、ジンノのプリ―ストン一族またの名をオルクスの一族は、同じ闇の魔法使いを排出する一族でありながら決定的に違う点が一つ。
それこそが『光』の存在。
「俺達闇の魔法使いは確かに闇を欲すると言われる。だが本当は違う。俺たちはその中に輝く小さな光を欲している。闇に飲まれそうになりながらも強く、強く輝き続ける、そのわずかな『灯』に惹かれるんだ...」
オルクスの一族として生まれるもののほとんどは闇の魔力を持って生まれる。
だが稀に、その中に真っ白な容姿をした光の魔力を操る子供が生まれるのだ。
一族の中ではこういう言い伝えがる。
その白い子供は我々が道を踏み外さないための『灯』であると。
ジンノの脳裏に浮かぶ真っ白な少女。
その全てが光で出来ているのではないかというほど、彼女の心の中には正義感しかない。
生まれながらにして騎士として一番大切な心を持って生まれた人。
「俺はルミアの背中を追っていただけ、ただそれだけだ。この世界に彼女がいる限り俺は、お前たちのようにはならない。どんなことがあっても、絶対だ」


