「ルミア...大丈夫か?」
「ん、平気。それより準備は?」
「ああ。万端だ」
少し青白い顔のルミアを心配しながら、漆黒のマントに身を包んだイーリスが同じマントを差し出す。
それを受け取り、慣れた手つきで身にまとうルミア。
そしてイーリスたちと一緒に居たロードに尋ねる。
「ロードさん、私たちはもう行きます。どうされますか?」
「...ついて行くと言いたいところですが、私はここに残ります。まだ国に戻るべき時ではありませんので」
占星術師である彼女は未来が読めているはず。
それに従うのだろう。
笑みを浮かべながらローグは答える。
「ルミア様のご無事を祈っております。次に会うときはフェルダンで」
「...はい。きっと」
そう言って二人はしっかりと握手を交わす。
そのままルミアたちは迷うことなく湖に向かう。
そこまでのやり取りを呆然と見ていたアイルドールの騎士たちははっとした。
彼らは今から国を出ようとしている。
それが分かったから。
「お、お待ちください!ルミア様!!」
クロノワの言葉にチラリと振り返る三人。
「この国からは何が何でも出しませんよ!ジンノ様の意向が分からない訳ではないでしょう!?」
ジンノはルミアを守るためにこの国に閉じ込めた。
そのくらい知っている。
だからと言って、もう止まるわけにはいかない。
「貴方達に何を言われようが知りません
私たちは騎士です。主を守れぬ騎士に生きる意味はない」
ルミアの冷めた一言が突き刺さるようにその場にいる人たちの心に響いた。


