「ルミア様」
「?」
「ジンノ様が貴女様にした仕打ち、それには理由がございます」
「え、...」
「おいお前ッ...何を!?」
突然の発言に戸惑うルミアに、一体何を言い出すんだとうろたえるイーリス。
しかし、ローグは構わずに声を張る。
「凶兆の卜(うらべ)が出ました。ルミア様、貴女は、この戦いで...死にます」
ローグの脳裏に占いを伝えたときのジンノの様子がよみがえる。
『貴方は、この戦いで、最も愛する人を、再び失うでしょう』
それを伝えたときのジンノの表情は忘れない。
彼はオルクスの人間。クダンの占いの、真実の卜の正確さは誰よりも知っている。
『貴様!!......ッ!』
胸ぐらをつかみ、ローグに滅多な事を言うなと怒鳴りつけようとするが、その嘘偽りを映すことのない真紅の瞳を見るとその言葉が、その予言が、真実であることを嫌が応にも理解してしまう。
『...ッ...嘘、だろ?...嘘だと言ってくれ』
懇願に近いそれはあまりにも切実で
何も答えないローグに、ジンノはがくりとうなだれるように膝をついた。
『我々の占いは...けして外れない。未来を変えようとしても無駄です
...ですが、それでも可能性を、奇跡を信じたいのであれば...この国から出さないことです』
アイルドール王国は絶対的防御を持つ、前世界でも稀に見る国。
その出入りは特定の人間にしか不可能となれば、その人物を封じることで閉じ込めることが出来る。
いわばこの世で最大・最強の砦であり、同時に牢獄ともなり得るわけだ。
だからこそ当時のクダンはクリスタリアをこの国に逃がした。
わずかな希望を信じて。
その時は、クダンにクリスタリアを留めておけるような力がなく、失敗してしまったが
(ジンノ様であれば...)
愛する者の死を一度身を持って体験した彼らであれば、その奇跡が起こるかもしれない。
未来を変えるという奇跡が。


